【 先生にバレなきゃいい 】

小4くらいから
「学校の授業」をあきらめる、
そんな生徒が増えていく。

次第にベクトルが
「先生に怒られるか否か」
に変化し、
ごまかしやズルばかりうまくなり、
そのまま進級していく。

算数で躓いた子とゆっくり話し、
何を思ってるかを聞いている。

「算数の時間はずっと
 絵を描いて終わるのを待ってる。」

「先生はうるさい男子には怒るけど、
 悪いことしてなきゃ別に怒らない。」

「まわりみんな宿題答写してるよ。」

などなど。

こうやって
普通の大人には言えない
本心を教えてくれると、
とても助かる。

「先生に怒られないため」
というズレたベクトルを修正して、
自分なりの目的を
見つけさせれば改善できるので。

なんでも反射的に
頭ごなしに叱らないようにすると
ちゃんと本音を言ってくれる。

昔の自分なら
「答写してる」「絵描いてる」
と聞いた瞬間すぐに
頭にきて指導していただろう。

「おー、なるほどね。
 どうしてそうしちゃうの?」
と否定せず深掘りしながら
伝えたいことを伝えている。

確かに長く経験してきた結果、
「この行動が良くない」
と分かっていても、
その子にとって
自分の経験則が最適解とは限らない、
と考えられるようになった。

大事なのは
「なぜその子がその行動に出たのか?」
「そこにどういう思い、
 どういう背景があったのか?」だ。

質問を重ねていくと
「そんなところに原因があったのか!」
と気付かされることが多い。

長い経験から
「どうせこのパターンはこれだろう!」
という勘で一方的に決めつけて、
こちらの正論を押し付け、
生徒の話を聞かないのは違う。

こちらの経験は
全て聞き終えた後の
伝達内容にいかせればいい。

家での親御さんの声かけも
できるだけ感情的にならず、
決めつけをしないで、
まず耳を傾けてみて欲しい。

たとえば帰りが予定時刻よりも
遅かったとき
「なんで時間を守らないの!?」
だと
疑問形でありながらも
大人側の最適解は既に
決まっている問いかけとなっている。

(どうせ遊んでたんでしょ!)
(どうせ約束の時間忘れてたんでしょ!)
と内心で
決めつけてしまっているから、
もう子供はその時点で
思考が停止してしまう。

どう答えても
結局は怒られてしまうから。

親が子の無事を心配していたのに
怒りで上書きされてしまうと
それはもう伝わらない。

本当に伝えたいことが
「夜は危ないから、
 自分で時間を管理して
 間に合うように帰ってきて欲しい」
という結論でも、

叱られると子供の脳は
一種のパニック状態になるので、
「親が怒るから、早く帰る」
とベクトルがズレてしまう。

このベクトルのズレが
大きな問題につながりやすい。

自分もまだまだ未熟で
すぐに決めつけたり
調子に乗ってしまうから、

① 決めつけをしない
② 無理強いしない
③ 答えを待つ

ということを
十分に念頭に置いて
生徒と話すようにしている。

1人で生き抜けるように
苦難にも立ち向かえるように
育てていきたい。

ふと考えてみると
あと数年したら
実はもう一人立ち、
巣立ちが必用な時期。

自分で飛べる、
自分で乗り越えられる、
そんな人を増やしていきたい。